支援要請書

支 援 要 請 書

平成30年7月11日朝              (ただし7月12日公表用の一部修正版)

故松本智津夫死刑囚の四女松本聡香(仮名)代理人

弁護士  滝  本  太  郎  印

警察庁警備局公安課  御中

公 安 調 査 庁  御中

東京拘置所総務部長  御中

 

支援要請の趣旨

この7月6日死刑執行の麻原彰晃こと故松本智津夫死刑囚の遺骨を、パウダー化及び太平洋の不特定地点にて船から散骨するにつき、下記を実施すべく、費用負担と業務を是非、支援願いたい。

1 法形式的には、四女及びその委託を受けた当職らが主体となって散骨し、国がその支援をする形とする。

2 骨をパウダー化する前にお骨の確認、パウダー化と散骨のそれぞれにつき、四女と当職がもちろん立ち会う。

支援要請の理由

1 「麻原彰晃」こと故松本智津夫死刑囚の遺体等の行方については、社会的にも、宗教的にも、我が国のみならず世界各国から注目される状況となってきてしまっています。

そしてオウム真理教が「アレフ」と名を変え、未だ麻原彰晃に帰依する者(アレフなどのように明確に分かる集団、巧妙に隠している集団、また一人にて)が未だ存在する以上、これらオウム集団または個人から、遺骨を引き取る者らとして、何らかの攻撃があるのではないかと多大な不安を持つのも当然です。

わけても、昨夜、地元警察署に提出した告訴状記載のとおり、7月4日から当職が見ているのを知りながら、この関係記事を紹介しつつ7月7日、「誰かと誰かは二世皇帝と趙高のような関係になったら、殺しに行くぞ。」とツイッター記載したオウム集団に関係する者がいることから、一層の不安を持つものです。

2 オウム真理教は、弟子らを様々な手法でマインド・コントロールし、ついには薬物を使用して洗脳にまで至らせて教祖の手足とし、その上で組織的に極悪非道の行為を重ねまして貧者の核兵器である化学兵器サリンを用いて無差別大量殺人を2度までもしたのであり、まさに破壊的カルトです。

しかし同時に、麻原教祖をすべての衆生の輪廻転生を把握しているとし、仏陀と同様のものとして信者は帰依しているのですから、もちろん宗教でもあります。

ですから、教祖の遺体等の行方については、教団及び各信者において多大な関心を持つことも当然であり、今回のように、四女ないしその委任委託を受けている当職が遺骨を引き渡される立場となっているとき、当職らが、この奪還や当職らへの攻撃が為される危険性を感じるのも当然です。

そこで、御庁らにおいて、今後ともしかるべき対応が必要だと確信します。

3 当職としては、7月7日、東京拘置所から自動車にて四女を載せて、マスメディア手配のオートバイ数台に追われつつ法律事務所に夕方帰った段階で、警察の警備がまた始まっているのだろう、当職と四女の警備につき協議しなければならないと思っていたところ、その様子がありませんでした。当職が東京拘置所にまた行った8日もその様子がなく、仕方なく9日になって、各警察関係に問い合わせたものです。しかるところ、情報収集をやっていますなどとの回答はありましたが、これら必要性についてさほどの認識がなく、また当職と四女の情報も責任者においてさほどわかっておられないという印象でした。そこで情報提供のための資料とともに、手書きの送付書にて「当方らへの攻撃を待っているのか、とさえ思ってしまいます。」と記載した次第です。

4 以上の通り、そもそもの遺骨等を引き取る不安、ツイッター上の「殺しに行くぞ」という記載の不安、そして警備関係の不安から、四女と当職の希望である「遺骨は直ちに隠密裏に引き取って、パウダー化し、人知れず場所も特定されないようにして散骨する」という方針は取れようがありませんでした。

5 10日になって、改めて東京拘置所での協議での中でも当職から出した話が、決して途方もないことではないと思い起こしました。形式的には、この散骨を当方がなすものとしても、実質的に国の費用と業務としてなす、というものです。四女と急ぎ協議したところ、強く賛成してくれました。

考えてみれば、本件は、まさにテロリズムに対する日本国としての対応の一環でもあります。オウム事件が、国に対するテロ攻撃でもあったことは、多くの確定判決で示されているだけでなく、オウム事件の被害者救済法の立法趣旨として明確に示されていたものでもありました。

オウム事件は、教祖にとっては格別、弟子らにとっては救済としての殺人、宗教殺人であり、「悪意の殺人は限度があるが、善意の殺人は限度がない」という底知れぬ恐ろしい事件だという特質があります。オウム集団は、平成7年11月には真実、サリン70トンを東京都下に撒いた蓋然性もある「救済として撒くことのできる宗教かつ破壊的カルト」なのです。

このような、宗教的な破壊的カルトがテロを起こした時、教祖らの遺骨対応もまさにテロ対応の一環だというべきでしょう。五重塔、卒塔婆などがお釈迦様の骨、仏舎利が納められているという設定のものにあるのと同様、教祖(死去後は開祖となりましょう)の遺骨を持つ者ないし団体が多大な宗教的権威を持つこととなります。新たな「グル」にあっては、尚更にこの遺骨を持てば絶大な絶対者となることができるのです。ですから、国としても、その対応を万一にも誤ってはならないのです。

6 そして、それらのうえで、教祖の死亡から1年、5年、10年、20年と経過していくなかで、折に触れて、残るオウム事件死刑囚の内の大幹部ではなかった6人から、改めてオウム真理教に嵌っていって各事件に至るまで至った心理的経緯や、さまざまな事件のこと、何より「麻原彰晃」についての総括的な言葉が、出てきやすくなりましょう。

世上に出てくることにより、残っているオウム集団の拡大抑止・消滅に役立てることができ、また破壊的カルト問題への対応策を検討する基盤とすることができます。

オウム事件は、核兵器に匹敵する化学兵器を民間が作ってテロにまで使用された事案、しかしその後いくつかの傷害致死事件などありとも暴発は防いでいる事案であり、世界的にも、日本史上においても特筆する事案です。したがって、今に至るまでの、集団と事件全般について、国は、私どもを含め様々な者の協力を得つつ、様々な角度から何万ページにもわたる詳細な分析・調査結果そして検討結果を著すことが、歴史的責任でもあります。

すでに6人の実行犯らの死刑を執行してしまっている今日、残る6人につき、本件支援要請のとおりにした経緯を示して、より語り続けやすくしていくことが、極めて大切だと思料します。

7 本件では、幸いに、現行規則にて四女が遺体などの引き取り人となれる立場になりました。そして、当方の要請としての火葬を終え、その遺骨は東京拘置所が保管しているところです。

四女と当職は、当初から「遺骨は直ちに隠密裏に引き取って、パウダー化し、人知れず場所も特定されないようにして散骨する」というものでこれを説明し、その業者や旅程があるものではあることは、東京拘置所で示したインターネット情報のとおりです。しかし、上記の通りの今日の状況では、とても実現できません。

このままでは、日本国として宗教テロリズムに対する適正な対応ができなかったこととなってしまいます。

8 よって、上申の趣旨記載の通り、ここに求めます。

太平洋であれば、広いので、後々特定の「聖地」とはなり得ず、当方らは了解します。

パウダー化する前にお骨の確認、パウダー化と散骨のそれぞれについて、形上当たり前のことではありますが立会を求めるのは、遺体の確認と同様、確実にその骨を散骨した、と信者らに示す証人となるためです。

以上のとおりです。至急検討され、これを実現されたい。

9 なお、第1に、上記の件は、10日の昼過ぎから電話で御庁ら一部の方と相談したものでもあります。第2に、本件実現のために有力政治家を経由した方が早いのであれば、ご連絡ください。なんとしてもルートを探します。第3に、本件は、当職らの危険を少しでも早期に減少させるために、本日午後3時から、記者発表する中の、報告の一つともすることを付言します。

以 上